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2004.06.23

291、295巻あとがきより

 以下、291巻。

 久しぶりにおもしろい飛行機を見つけた。といっても、サイト上でだが。
 スケールド・コンポジッツというアメリカの会社が開発しているスペースプレーンの母機『ホワイト・ナイト』(ナイトは騎士のほう)と、宇宙船本体『スペースシップ・ワン』である。
 ホワイト・ナイトはスペースシップ・ワンをぶらさげて成層圏まであがり、スペースシップ・ワンはそこから弾道軌道を描いて高度百キロメートルまで達したあと、滑空して地上にもどるという。いってみれば、一九八〇年後半から九〇年代初頭にかけて、欧米や日本で国家プロジェクトとして発表された次世代スペース・シャトルを、すこしチープにしたものと考えていいだろう。それでも、民間人が手軽に(といえるかどうかはわからないが)ヴォストーク1のガガーリン気分を体験できるわけだ。

(略)

 まず、母機のホワイト・ナイトはT型尾翼の直線翼グライダーを二機ならべ、接点になる中央部にもうひとつ短胴でずんぐりした主胴体をくっつけて、その上部に肩持式にターボファン・エンジンを二基乗せた……というような構成。ふつうに考えれば不恰好な飛行機になりそうなものだが、これが微妙に美しい。未来的という感じでもなく、むしろXB70のような▼ロスト・フューチャー▲路線に近いにもかかわらず、とても優美なのである。
 スペースシップワンも負けず劣らず異様な外見を持っている。母機と同一デザインの胴体に、ごく短い肩翼式の主翼。その翼端からはじまる、なんとも形容しがたい垂直尾翼、それに付属する水平尾翼……これは全体でフォールドアップ・デザイン・ウイングと呼ばれ、大気圏に再突入するさい、機体を安定させるための特殊構造だそうである。母機にくらべるとずいぶん武骨で、スペースシャトルや一連のリフティング・ボディ機とはかなり違うフォルムなのだが、それでもやはり、どこから見ても宇宙往還機なのだ。
 まだスペースシップ・ワンは初飛行しておらず、二機がドッキングして飛ぶさまは想像するほかないが、きっと『サンダーバード』のプロデューサー、ゲーリー・アンダーソンの世界そのものになるにちがいないと思っている。

(略)

 以下、295巻。

 では、二九一巻のつづき。飛行機の話である。スケールド・コンポジッツ社のサイトによると、スペースシップ・ワンを搭載したホワイト・ナイトは、五月二十日にぶじ初飛行して、八月末までに合計三度のテストをこなし、SS1単独の飛行にも成功したようだ。アップされた写真を見ると、やはり▼微妙に優美▲という感じで、さっそくビーチ・スターシップ1といっしょに飛行しているシーンを、ディスプレイに飾ることにした。それまで貼りつけてあったF22より、数段美しい。
 この飛行機についてひとつ補足しておくと、プロジェクト・リーダーは同社の創設者兼チーフ・エンジニアであるバート・ルータン氏である。一九八六年、無着陸・無給油での世界一周飛行に成功した『ボイジャー』の設計者として、ご存じの方もいるかもしれない。ボイジャーももちろん、同社の▼作品▲で、WKとSS1もこうしたユニークな設計思想の延長線上にある。ちなみに、前述のビーチ2000スターシップ1というビジネス機も、ルータン氏の設計がもとになっており、個人的にはこれが世界一美しい飛行機かもしれないと思っている。
 最近は開発費が高騰したのと、コンピュータによるシミュレーション技術が発達したのとで、一九五〇年代みたいに「とりあえず飛行機をつくって、飛ばしてみる」ということがほとんどない。そのため、実際につくられるのはどれも無難な外見で、魅力的な飛行機があまりなくなってしまった。

(略)

 そうやって欲求不満がつのっていたなかで見つけたWKとSS1は、当分のあいだお気に入りになりそうだ。
 以上、WKとSS1に関する情報では、航空宇宙評論家の江藤巌さんにいろいろお世話になった……というより、原稿チェックまでしていただいた。この場を借りてお礼申しあげます。

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