« 本日よりプラス | トップページ | オート界に新スター出現 »

2004.08.03

評伝・入江長八

いりえちょうはち。伊豆の長八とも呼ばれる。プロフィールはこちらここには写真も。ここに岩科学校の鶴の鏝(こて)絵もあった。また、『土の絵師 伊豆長八の世界』という本も出ているそうだ。

 長八をひと言で説明すると、「天才左官職人にして鏝絵の創始者」となる。したがって、ただの職人ではなく、名工だ。

 話はいきなりそれるが、アーティストと職人の違いって、ご存じだろうか? いや、明確な定義があるわけじゃないんだけど。

 その制作物の標準的完成度を100として、一生に一度でいいから、500のものをつくるのがアーティスト、毎回かならず100のものをつくりつづけるのが職人。私はこう定義している。さらには……毎回100のものをつくりながら、数回に一度は120あるいは150、200のものをつくれるのが「いい職人」、ときに500のものをつくってしまうのが「名工」と考えている。長八はこの名工、つまり職人の最上位に位置する人物だ。

 大工・佐官関係の名工というと、ふつう左甚五郎の名前くらいしか出てこないが、この人は実在こそしたらしいものの、話に尾ひれがつきすぎて、どれがほんとうの作品なのか、よくわからない。その点、長八は幕末から明治期の人なので、写真までのこっており、伝説ではない、非常にリアルな名工といえると思う。

 はじめて長八のことを知ったのは、たぶん7年くらい前。はっきりはおぼえていないが、たぶん伊豆観光協会かなんかが制作して、UHF各局が放送する『いい伊豆見つけた』で見たのが最初だと思う。(^_^;) それで猛烈な感銘をうけたのだ。うちは在京U局4つがぜんぶ見られるんで、時間を調べてくりかえし見たと記憶している。

 鏝で細密画を描いちゃうって、ふつうじゃできませんって。だから、考えもしませんって。私は大工の息子で、子供のころは鏝持って遊んだこともあるから、わかるんだよね。それを長八は、たぶん手なぐさみ(仕事の合間の遊び)からはじめて、独自の芸術(工芸?)分野にしちゃったんだから、この業績はすごい。

 それで、どうしてもほんものが見たくなって、とーこちゃんを地魚で誘いだし(・☆)\バキ\バキ\バキ\バキ 以前からインドやイスラムの細密画に興味を持っていたとーこちゃんといっしょに、長八美術館に行ってみたのが、松崎との最初の出会いになった。

 考えてみれば、長八を知らなかったら、民芸茶房も松崎プリンスも知らなかったかもしれないわけで、やっぱり長八には因縁というか、なにかを感じるなあ。テレビで見て、いきなり行ってみたくなるってことは、ほとんどないもの。最近の例では、去年の春、横浜そごうで開催された『どらえもん展』くらいだ。(^^;;;

 先の定義でいうと、私の仕事は完全に職人の世界だ。毎月、一定レベルの本を一生つくりつづけるわけだから。もともと職人の息子だし、いっぱいいろんなジャンルの職人を見てきたあげく、自分でも「いい職人」でありたいと思っている。こういう人間にとって、長八は神にもひとしい存在だったりするのである。(^^ゞ

 蛇足。長八からははずれるが、松崎という町は手先が器用というか、緻密というか、そういう人々を輩出しつづけているらしい。中瀬邸その他で売っている絵ハガキは細密画そのものだし、町を歩いていると、ミニチュアの大工・佐官道具をつくっている職人さんの店なんかがひょこっとあったりする。こういうところも、くりかえし松崎に行きたくなる理由のひとつになっている。

|

« 本日よりプラス | トップページ | オート界に新スター出現 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40142/1110227

この記事へのトラックバック一覧です: 評伝・入江長八:

» アーティスト [左官屋さんの喫煙所]
私の名前の由来である伊豆の長八さん 本名は 入江長八 言わずと知れた“左官の神様 [続きを読む]

受信: 2004.08.05 22:59

» 花氷 [伊豆の小さな写真館・フォトの旅]
南国伊豆も西天城高原には寒波が 襲っている 雨の滴が見事な氷画を描いていた。 [続きを読む]

受信: 2006.01.03 09:36

« 本日よりプラス | トップページ | オート界に新スター出現 »