« 本日カネゴンヌ | トップページ | 武田、西日本初見参! »

2004.09.01

老境の甘き祭典

 妻のとーこちゃんネタである。

 妻はヒンディ語が堪能なのだが、その基礎になったのは、インドでのホームステイと、N先生という某大学教授のヒンディ語教室だ。いまはもう教室をやめたが、それでもN先生や教室の生徒、もと生徒とは交流がある。で、この8月、妻が幹事になって、すこし早いN先生の古希のお祝いを、都内の某インド料理店でやることになった。

 参加者は生徒が中心で、妻が案内状を送ったのも生徒が主体だが、それ以外の友人・知人にもさみだれ式に情報が伝わったようだ。N先生が古希だから、その友人・知人というのも、当然ながらお年を召した人ばかりである。生徒のほうは、いまも某大学でヒンディのクラスを持っているから、年齢層は20~70代と多彩。ただし、全員がインドにハマっちゃってるわけで、なかには浮き世ばなれした人もいる。

 という状況で……

 パーティの1週間くらい前の平日午前中、参加したいという人から電話がかかってきた。妻は平日昼間は会社があるから、連絡は夜か土日と、案内状には明記してある。私としても、いくら家にいるといっても仕事をしているわけで、電話ははっきりいって迷惑である。ふだんは基本的に出ない。でも、この日は版元と連絡をとりあっていたため、うっかり出てしまった。

 相手は古希をこえていそうな老人、男。ゆっくりながら明瞭に、わりと理路整然と話す人で、「知人から案内状のコピーをもらった。パーティに出たい。手続きしてくれ」という用件はすぐわかった。だけど、私はなにも聞いていないから、どう対処していいかわからない。それでも、案内状に「電話連絡の場合は夜に」と書いてあるのは知っていたから、夜になったらもう一度電話をかけなおしてほしいとたのんだ。

 すると……

「では、伝言をお願いします」

 (?_?) いや、だから、夜にかけなおしてと。もしかしたら、もう申し込みを締めきっているかもしれないし……

「ですから、夜にかけなおしていただけ……」

「名前はフジカワ、カクイチロウです」

 いちおう、まんま本名はまずいので、名前の1字は変えてある。為念。以下同……

「すみません。私にはわからないので、かけなおしてください」

「フジカワの漢字は……」

 だ、か、ら! 電話かけなおせって! 

「いえ、漢字はいいです。伝言は……」

「フジは富士山の富士です。川は三本川の川……」

「いいです! カタカナで充分ですから!」

 結局、伝言するのかよ。しくしく。(T^T)

「カクイチロウというのは……」

 聞いてません! (T^T)(T^T)

「覚醒の覚。ご存じですか? 覚えるという字ですが」

 あんたと違って、こっちは日本語のプロなんだよ。ご存じに決まってるだろ! 話を聞け!!

「……」(返事をしない)

「あ、では、知覚の覚です。おわかりですか?」

 るせー、じじい!

「……」(返事をしない)

「さて、イチロウですが」

「カタカナで書くのでけっこうです!」

「数字の1に……」

 はいはい。あとはなすがまま。ちゃんとメモしましたと伝える。メモなんかしてねーけど。すっかりおぼえちゃったよ。3週間たったいまでも、明瞭に記憶してるくらいで。凸(--;

「じゃ、伝えておきますから」と、電話を切ろうとする。

 カクイチロウはひときわ大きな声で、

「コピーをいただいたのは!」

 くそう。切ろうとしたのを察知されてしまった。だけど、「いただいたのは!」で終わるな。単刀直入に「電話を切るな」といってもらったほうが、なんぼか楽か。(T^T)(T^T)(T^T)

「フクトミ、タカコさんです。ご存じと思いますが」

 存じませんって。最初から、そういってるでしょ。(T^T)

「字は」

 聞いてないって!!!!!!!!!!!!!!!!!

「フクは福井のフク、幸福のフクですな。はっはっ」そこで笑うな~! 幸福のどこがおかしい!

「トミは富士山の……」

 またしても「富士山」からひとしきり話に花が咲いてしまった。くそ~。(T^T) 

「タカは貴族の貴です」

 そりゃ、わかりやすいですね。しくしく。

 この電話が終わるまで、実に20分かかった。このあと、カクイチロウが電話番号をこと細かく説明したから。老人パワー恐るべし。あたしゃ、そのあとほぼ1時間にわたって、仕事にならなかったよ。集中を寸断されたのがいちばんだけど、このとても文章では表現できない脱力感から脱却するには、相応の時間がかかるのであった。(T^T)(T^T)

 妻は帰ってきてから話を聞き、憤然としながらカクイチロウに電話をかけていたが、そのあと、ひと言……

「カクイチロウ、強烈!」

 どーいう話をしたかは、知らないけどね。でも、わが家では以後こういうナンダカナンな老人を「カクイチロウ」と呼ぶことにした。(^_^;)

 いや。人生の先輩方をばかにする気はまったくない。でも、老境だからといっても、許されないことは許されないのだ。すくなくとも、最初に話くらい、聞いていただきたい。こっちのつごうもあるんだからさ~。(T^T)

(じつは、もうすこしつづく)

|

« 本日カネゴンヌ | トップページ | 武田、西日本初見参! »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/40142/1307268

この記事へのトラックバック一覧です: 老境の甘き祭典:

« 本日カネゴンヌ | トップページ | 武田、西日本初見参! »