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2005.03.28

『失踪日記』を読む

 先週にしこんでいたネタというのは、吾妻ひでお『失踪日記』のことだった。その前の週、秘密結社で永瀬唯先輩に見せられ、「これすごい」と聞いて、読んでみたもの。

azuma

 ちなみに、すぐ読みたくて、結社の翌日、久喜の書店6軒ほどをまわったのだが、どこにもおいていなかったのだった。これだから田舎の本屋ってやつは……(TnT)

 結局、用事で東京さに行ったとーこちゃんに買ってきてもらい、版元の行き帰りで読んだというしだい。

 壮絶な内容である。

 私も物書きで食ってるわけで、こーいう状況にはつねにおかれている。なんつったって、月刊で文庫1冊ずつつくらなきゃならないんだから。いってみれば、いつ失踪してもおかしくないのだ(笑)。ま、私の場合はまず読者の代表みたいなとこがあるから、読者=戦友に対する責任として出しつづけるというスタンスで、失踪はありえないけど。たぶんね。とりあえず、16年やってきたわけだし。

 自分のことはいいや。とにかく、壮絶な内容である。2度にわたる失踪、アルコール依存症、断酒。それぞれに重い。でも、それ自体が壮絶なのではない。

 その体験もたしかにすごいが(ぜんぶ実話とのこと)、恐ろしいのはそれを良質のギャグマンガにまで昇華してしまう吾妻さんの才能だ。ご本人は「悲惨な話だけど、それを悲惨に描いてもしょうがないし」というようなことをおっしゃっているが、それをここまでの「作品」にしあげられるのは天才だけである。

 そこが壮絶、凄絶だ。

 具体的内容はもったいないから書かない。どうぞ買って読んでください。amazon.comならこちら

 この時期の話だけでなく、自伝的要素もふくまれているし、あとがきのとり・みきとの対談や、それとはべつにシークレット対談なども用意されている。あじまにあはもちろん、SFファンを自認する人なら必読の書だよ。

 思い出話をひとつ。

 94年だったと思うが、吾妻さんに近い人から「なにか吾妻さんに仕事を依頼してほしい」という話がきたことがある。吾妻さんご本人はきっとご存じないと思うが。私はそのころ、ろーだんの編集のほか、実用書の単行本を書いていた。その私への依頼というと、つまり単行本のカット描きだ。そういう細かい仕事でもいいという。

 私の著作に吾妻さんがカットを描いてもらえるなら、これほど光栄なことはない。ところが、タイミング悪く、ちょうど著作のシリーズがまもなく完結するという時期で、カットも手配は終わっており、次にそういう大きな企画をやるのは数年後になっていた。

 それで、泣く泣く「次回はかならず」とおことわりしたのだが、今回『失踪日記』を読んで、ちょうど2度めの失踪からもどり、再起をはかっておられた時期だったのだなと、はじめてわかった。

 うーん、あのとき手配したイラストさんをことわってでも、やってもらうんだったな~。(;_;) もっとも、そのときの実用書って、大学生向けのいわゆる就職本シリーズだったんだけどね。(^^; そーいう理由でもとのイラストさんをことわるのは、仁義違反だし。

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コメント

永瀬唯さま。

 朝日の書評かなんかで、シークレット・インタビューがあると事前に知っていたんで、すぐチェックしたんです。書籍の場合、シークレットっていっても、かぎられてますからね。まずオビ裏を見て、次でビンゴ。(^^)

投稿: よが | 2005.03.30 13:20

 あっ、シークレット・インタビューってちゃんと書いてある。

 お間抜けなわたし、でありました。

投稿: 永瀬唯 | 2005.03.30 00:57

 おまけのインタヴューにはきがついたかな?

 わたしは買って10日たつまで気がつかなかった…………。

投稿: 永瀬唯 | 2005.03.30 00:55

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