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2005.05.11

こって牛考

kotte

 とーこちゃん作、こって牛の鍋つかみ。(^^)

 わが家でこって牛っていうと、こーいうイメージだったりする。(^^)

 それで、ほかの人はどういうイメージなのか、そもそもどーいう意味なのか、ふだん使っている広辞苑や小学館の大百科全書ではわからなかったので、ネットで検索してみた。150件くらいヒットがある。

 それでわかったのだが、こって牛という言葉、中部以西ではかなりポピュラーらしい。三重や大阪など近畿から四国・中国地方、九州全域、なんと沖縄にも対応する言葉があるそうだ。

 ちなみに、沖縄では「クティーウシ」と呼ぶという。「琉球語音声データベース」より。

 以下、イメージを列記すると、

「牡のりっぱな牛」(熊本)
「力強い、ねばり強い牛」(福岡)
「おとなしくて力の強い牝牛」(愛媛)
「元気のいい牡牛」(広島)
「暴れ牛、いうことを聞かない牛、強情な牛」(三重)
「暴れ牛。そこから転じて暴れん坊の意」(大阪)
「なにがあってもびくともしない牛・人」(大阪)
「どんくさい牛」(地域不明)

 などなど、かなりばらつきが多い。とりあえず牡だけかと思ったら、上記の愛媛の例とか、「こって牛のような巨大な乳」(地域不明)とか、牝をさす場合もあるらしい。

 かと思うと、壱岐の神社に伝わる話のなかに、「こって牛(牡牛)」「うの牛(牝牛)」なんていう記述も出てきた。あらたに「うの牛」の登場である。(^^;

 これはイメージがひろえたケースだが、名前だけなら関東一円にもひろがっているようだ。店の名前として、東京の練馬区や宇都宮市なんてのもあった。逆に、東北と北海道の例はヒットしなかった。やっぱり関西と九州あたりでポピュラーなのかな?

 そーいえば、メジャーリーガー野茂英雄のあの投げ方は、近鉄時代に公募で名前が「トルネード投法」と正式に決まるまで、俗に「こって牛投法」と呼ばれていたそうである。

 このイメージはぴったりだ。友達Tの体型は、たしかに野茂に似ているし、茫洋とした雰囲気も近い。(^^)

 全体としても、「力強い」「強情」な一方で「茫洋」というあたりが、一般的イメージになるんじゃないだろうか。

 では、本来はどういう意味なのか? これも上記「琉球語音声データベース」にヒントがあった。ここに「クティーウシ 牡牛。「ことい牛」、「こって牛」などに対応。許多負(ココタオイ)牛の略」との説明があったのだ。

 これをもとに調べていくと、広辞苑でも「ことい・うし」の記述を発見。これによれば、特牛または牡牛と書いて「こというし」と読ませ、強く大きな牡牛のことだそうだ。

 さらに、語源は「こといのうし」とのことで、こっちを調べたら「重荷を負う牡牛。強健な牡牛。こというし。こっていうし」という説明が出てきた。万葉集にも使用例がある、由緒正しい呼び名らしい。

 もっと説明をくわえると、朝廷に供出する税金、租庸調を運ぶのに使われた荷駄運びの牛、これを「こといのうし」と呼んだようだ。「ことい」はもともと「許多負=ここたおい」の意だとして、いまの漢字にあてると「殊負い」くらいかな? 要するに「とても重いものを背負う」ということ。これがだんだん転訛して、いつかこって牛になったわけだ。

 でも、牛にはもともとユーモラスなイメージもあるし、「こってぃうし」という語感も手伝って、「どんくさい」とか「茫洋」というニュアンスがくわわり、各地でいろんなイメージのこって牛が生まれたにちがいない。

 こって牛ひとつとっても、これだけ歴史があるんだね。またひとつお勉強になりました。

 そうそう、どこかのサイトに「去勢されていない牡牛の意」という記述があったけど、これは語源的にはずれ。

 最初は信じかけて、この方向で調べたんだけど、結果的にミスディレクションにはまっちまった。(TnT)

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コメント

山口県には特牛という町があり、「こっとい」といいます。これはかなり近い話ですね。勉強になりました。

投稿: ハクション大魔王 | 2007.08.03 23:55

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