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2005.06.27

最高級バットマン

 鉄腕アトムより、鉄人28号のほうが好きだ。天真爛漫なだけのヒーローより、悩めるヒーローがいいんだろう。 だから、仮面ライダーよりキカイダーなのだ。

 だからといって、暗いだけじゃ重い。ときには、つきぬけた明るさがほしい。スーバー戦隊が好きなのは、そのせいかもしれない。

 というわけで、スーパーマンより、圧倒的にバットマンなのである。

 スーパーマンはほとんど見たことがないが、バットマンは最初の劇場版(1943年制作、日本未公開のがあるそうだ)をのぞけば、テレビ版、その劇場版、劇場版オリジナル4作と、ぜんぶ見ている。

 で、これまででいちばん好きだったのは、67年版(制作は66年)の『Batman the Movie』だったりするんだな。よーするに徹底的おばか映画ね。(^^)

 89年にはじまる劇場版の新路線は、どれもイマイチ好きじゃない。つきぬけた明るさがかげをひそめて、たんなる「悲しいフリークス」のドタバタになっちゃってるから。シリアスにつくればつくるほど、出てくるのはフリークスの悲しさだけだった。

 ところが!

 今回の『バットマンビギンズ』はスーパーリアルを貫きながら、 ところどころ67年版を彷彿するような息ぬきシーンもあり、なおかつ脚本がみごとで、映像がみごとすぎて、メカはすごすぎ……と、これまで見たあらゆるバットマンのいいところをすべてとりこんだうえで、さらなる高みに到達した、アメリカSF映画のなかでも十指にはいる傑作映画になってしまった。

 ま、そのくらいすごかったのですよ。正直、そこまで期待してなかったんだけど。

 とーこちゃんも、行くまであんまり気乗りしないようだったのに、見たあとは大絶賛の嵐。その日のあいだじゅう、ずっとバットマンの話ばっかりしてたもんね。

 まずアメコミ版で確立した 「バットマン世界」があって、 とくにバットマンという存在があって、そのバットマンがどうして生まれたかと考えたとき、どうすればバットマンが存在しうるかを「バットマン世界」から逆算していく……そーいうつくりかたをしている。

 だから、 脚本に齟齬がないし、 いちいち納得できるようになっているし、そこにしょーもないギャグの罠がしかけてあっても、 テレビ版を思いだして逆にうまいと感じる。 そこまで計算ができてるわけね。

 本来、存在しない世界を、 ぎりぎり99パーセントまで事実を積みあげて、 のこり1パーセントの虚構で成立させる。 これはSFの作成作法の原則であり、理想でもある。 でも、 なかなかできないんだよね、 これが。 なんたって、 理想だから。

 それを、映画のなかで成立させた希有な例……それが『バットマンビギンズ』だ。 もう最大級の賛辞を送っちゃおう。

 正直、 これは劇場で見なければと思ったのは、 予告編の圧倒的な映像だった。 ストーリーは期待してなかった。 ところが、ストーリーからしてこれだもんね。

 映像面も、ここ十年では最高の映像美をつくりだした。

 正直いって、 最近のハリウッド特撮(いい特撮はたいていロンドンで撮ってるんだけど)はCGに偏重するあまり、 「重力を無視した」映像があふれる、ろくでもないものばっかりだった。 だから、SWをのぞくSF映画は、ほとんど劇場で見ていなかったと思う。

 だけど、 その点でも『バットマンビギンズ』は革命を起こしたと断言できる。スタジオセット重視の映像づくりは質感がみごとで、CGはそれを補佐する役に徹していた。 このバランス感覚は、「ハリウッド特撮はついに日本特撮を超えた」と思わせるほどのできばえだ。

 セット撮影が完成されているから、そこにはめこむCG……たとえば、コウモリ数百万羽の乱舞なんかが、みごとにリアルに見える。バットモービルがあれだけ無茶をやっても、映像としても、小道具の設定としても、まったく違和感がない。

 その小道具にしても、モーガン・フリーマンのルーシャス・フォックスがいるおかげで、バットモービルから小物ひとつにいたるまで、 これ以上はないというリアリティがくわわった。

 ウェインが手裏剣つくるシーンもいいねえ。

 見ようによっては、 億万長者がなにが悲しゅて手裏剣つくるかと思うかもしれなかけど、わしも小学生のとき、学校の金工室で手裏剣を量産したもんね~。 やっぱりこれもリアリティ。(^^)

 これだけほぼ完璧な映画だから、2時間半近い上映時間がまったく苦にならない。ほんとに完成度の高い映画だよ。

 ライダー1・2号リメイクの話からこっち、「作品の原点回帰とはなにか」をよく考えるんだけど、この映画にはばっちりその答えがあった。今後は『バットマンビギンズ』が「原点回帰」のモデルになるはずである。そのくらい……歴史を変えるかもしれないような、 ものすごい化け物映画なのだ、こいつは。

【追記】
 土曜の午後早くという時間にもかかわらず、映画館でまわりを見まわすと、50~60代のご夫婦が全体の3分の2、いや、4分の3くらいを占めていた。反対に20代はほんの数えるほど。これはどうしてなんだろう? 『バットマン』だからなのか? とても気になる現象だった。

 10~20代には、バットマンは訴求しないのか? だとしたら、ゆゆしき問題だぞ。

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コメント

 おお、そーいうの、ありましたね。うちももうすぐ使えるのかな?

 あれ? そうか。いといはんは使えるのですね~。(^^)

投稿: よが | 2005.06.28 08:23

「夫婦50割引」ってのの効果では、、、

うちも家内と一緒に行こうかなぁ、、、

投稿: いとい | 2005.06.27 23:45

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