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2005.06.01

死影

 これも、早く書かなければと思いながら、1日のばしになっていたもの。

 先日、盟友の翻訳家・ 嶋田洋一から近著『死影』を送ってもらった。いつもありがとね~。マイケル・マーシャル"The Straw Man"の全訳で、発行はソニー・ マガジンズ。 レビューと購入はこちらから。

shiei

 たいへん恐縮ながら、忙しくてまだ読んでいないので、そのかわりといってはなんだが、キングのこの賛辞を紹介させてもらう。

「サスペンス小説の世界にはもう何も新しいものがないと思っていたとき、何とも危険な一匹の蜘蛛があらわれた。その名は〈The Straw Man〉。この作品は異彩を放ち、すさまじいまでに不気味だ」(訳者あとがきより引用)

 著者マイケル・マーシャル(ありゃ、ソニー・マガジンズはマイケルの表記なんだ)はマイケル・マーシャル・スミス名義で、日本でも処女長編『オンリー・フォワード』はじめ3本の長編が発行されている(いずれも嶋田訳)。

 特筆すべきは、SFというかホラーまたはミステリーというか、ジャンルを超越した渾然一体風の文体と、とんでも系アイデア。 私はこっちのほうにくわしくないが、「新・あらたな英米文学の旗手」みたいな存在のひとりなのはたしかだろう。

 今回の『死影』は、SF的ファクターを廃したミステリー ・ホラー3部作の第1部ということと、 ほかの理由もあって「スミス」をはずしたマイケル・マーシャル名義での上梓となったそうだ。 そのへんも訳者あとがきにくわしい。

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 これが処女長編の『オンリー・フォワード』。amazon.comのレビューその他はこちら。 この3部作『オンリー・フォワード』『スペアーズ』『ワン・オヴ・アス』はいちおうSF。 ま、ジャンルなんてどーでもいいし、なにがなんでもジャンルにわけたい場合は、 ぜんぶSFにしちゃえばいいんですけどね。あたしなんざ、高校のころ、漱石『それから』を「これニューウェーブSFじゃん!」と豪語していたくらいですから。(^^)

 訳者の嶋田洋一ことよーいっちゃんは最初、 この本が最初に世に出たイギリス版のハードカバーをテキストに訳し終えたが(元本ということで、当然)、 校正の段階でアメリカ版ハードカバーに大幅な加筆修正があるのがわかって、泣きながら(^^)修正を余儀なくされ、最終的にはアメリカ版ペーパーバックを底本にした。

 このへん、あとがきではあっさり紹介しているが、 じつはかなりの修羅場だったと聞いている。読み手の人にはあんまり関係ないけど、同業者としては身につまされるエピソードだったりする。(^^) また、よーいっちゃんはここ数年、こーいうパターンが多いんだな。(^_^;)

 なお、この"The Straw Man"(直訳すると「案山子」だよ)は前述のとおりミステリー・ホラー3部作の第1部で、第2部"The lonely Dead"(イギリス版)、"The Upright Man"(アメリカ版)は刊行ずみ、第3部"Bload of Angels"(おお、「血まみれ天使」!)は来月イギリス版が刊行予定とのこと。

 マイケル・マーシャル(スミス)は小説好き、活字ジャンキーの人にそこ読んでもらいたい作家だ。濃密だけど洒脱、複雑ながらあっけらかんとしていて、フィクションのためのフィクションという趣が強い。思わずにやりとするうちにひきこまれる……そーいうタイプの作品が好きな人は、ぜひどうぞ。

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受信: 2006.03.25 16:27

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